統合失調症

統合失調症とは

統合失調症は、考え方や感じ方、行動に影響を与える病気で、現実との境目が分からなくなることがあるのが特徴です。このため、周囲の人が感じていないものが聞こえたり、見えたりするなど、心に不安定な状態が生じます。若い年代(10代後半から30代)で発症することが多いですが、どの年齢でも起こり得ます。

当院では土日祝日、夜の時間帯など、患者さんのご希望に合わせて診察させていただきますので、日常生活に支障をきたすまえに、お気軽にご相談ください。

 

 

統合失調症にはどんな症状がある?

統合失調症には、さまざまな症状がありますが、大きく分けて3つの症状があります。

1.陽性症状(いつもとは違う感覚や行動が現れる症状)

  • 幻覚:実際には存在しないものが見えたり、聞こえたりします。たとえば「誰かが話しかけてくる」と感じる幻聴がよく見られます。
  • 妄想:現実とは違う考えを強く信じてしまいます。「誰かが自分を監視している」や「悪いことをされるかもしれない」といった被害妄想がよくあります。
  • 思考の混乱:話している内容がまとまらなかったり、考えが次々と飛んでしまったりすることがあります。
  • 異常な行動:周囲から見ると少し奇妙に見える行動を取ることがあります。

2.陰性症状(元気がなくなり、日常生活が難しくなる症状)

  • 感情が乏しくなる:楽しいことがあっても笑顔が少なくなったり、感情を表現することが難しくなったりすることがあります。
  • やる気が出ない:身だしなみを整えたり、食事を用意したりするなどの普段の活動ができなくなることがあります。
  • 会話が少なくなる:以前はよく話していた人が急に無口になり、返事が簡単なものだけになることもあります。
  • 他人との関わりを避ける:友人や家族と距離を置いて、ひとりでいる時間が増えることもあります。

3.認知機能の障害(考える力や記憶がうまく働かない症状)

  • 集中力が続かない:何かに取り組もうとしても途中で気が散りやすくなります。
  • 物事を覚えづらくなる:最近の出来事を忘れたり、会話の内容を思い出すのに時間がかかったりすることがあります。
  • 複雑な考えが苦手になる:たとえば、仕事や学校での難しい問題に直面すると混乱しやすくなることもあります。

統合失調症になる原因は?

統合失調症の原因は1つだけではなく、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。

脳内の化学物質のバランスの乱れ

ドーパミンやセロトニンといった、脳内で情報を伝える物質の働きが過剰になったり不足したりすることが原因とされています。

遺伝的要因

家族の中に統合失調症の方がいると、発症する確率が少し高くなることがわかっています。

ストレスや環境的な影響

特に思春期や大人になる過程での強いストレスや、幼少期の環境が関わることもあります。学校でのいじめや家庭内での不安定な環境がリスクになることもあります。

統合失調症の治療ではどんなことをする?

統合失調症は治療を続ければ、少しずつ症状が落ち着き、日常生活に戻れることが多い病気です。主な治療方法は以下のとおりです。

1.薬を使った治療(薬物療法)

  • 抗精神病薬(こうせいしんびょうやく)を使います。この薬は、幻覚や妄想などを落ち着かせる働きがあります。
  • よく使われるお薬には、リスペリドン、オランザピン、クエチアピンなどがあり、症状に合わせて医師が調整します。

2.心のサポート(精神療法・カウンセリング)

  • 専門のカウンセラーや医師と一緒にストレスの対処方法や現実との向き合い方を学びます。
  • 妄想や不安にどう対処するか、再発を防ぐためにどのような習慣を身につければいいかを一緒に考えます。

3.社会に戻るためのサポート(リハビリテーション)

  • 就職支援や日常生活に必要なサポートを受けることができます。
  • デイケアやグループでの活動を通じて、人とのつながりを取り戻すことが目指されます。

4.家族の支援

ご家族が患者さんを支えるためには、病気に対する正しい知識が必要です。家族が支援しやすくなるように、医師から説明を受けたり、相談したりする機会もあります。

治療で大切なこと

薬を続けること

症状が良くなったからといって、自己判断で薬をやめると再発のリスクが高くなります。医師の指示に従いましょう。

ストレス管理

強いストレスは症状を悪化させることがあります。心の負担を軽くするために、リラックスできる趣味や運動を取り入れると良いです。

家族や支援者と一緒に治療に取り組む

一人で抱え込まず、医師や家族、支援者と協力することが大事です。

統合失調症は克服できる病気です。

統合失調症と診断されると、不安になるかもしれませんが、適切な治療を受ければ回復し、再び学校や職場に通えるようになる方もたくさんいます。焦らず、自分のペースで治療を続けることが大切です。どんな小さなことでも医師に相談しながら、一歩ずつ進んでいきましょう。

あなたは一人ではありません。周りの支えと一緒に、前向きな変化を感じられる日が必ず来ます。